2000年8月17日
報道機関各位
社団法人日本音楽著作権協会 (JASRAC)
ネットワーク音楽著作権連絡協議会 (NMRC)
 
NMRCとJASRAC、有料配信等商用サービスの使用料本格合意
JASRACは非商用配信の規定を含め文化庁長官に認可を申請
 
使用料規程
 
この規定の必要性について

 社団法人日本音楽著作権協会(以下JASRAC、本部:東京・渋谷区、理事長:吉田茂)は、インターネットや携帯端末での音楽利用全般に適用する使用料規程を別紙のとおり策定し、去る8月4日文化庁長官に認可申請いたしました。

これまでインターネットや携帯端末での音楽利用は、ネットワーク音楽著作権連絡協議会(以下NMRC、本部:東京・港区、代表世話人:佐々木隆一)との協議により有料の配信事業に適用する暫定使用料率(有効期限:2000年9月30日)を定めて運用してきましたが、著作権使用料交渉の長期化は、社会的な関心が高まっている音楽配信事業の健全な発展を阻害するものであり、適正で誰もが受け入れられるルールづくりを優先することが、ネットワークを活用した音楽文化育成に寄与するものと認識し、両者は一部規定の運用に関して継続的に協議を続けることを条件に、正式に合意致しました。

また昨今、インターネットや携帯端末での音楽利用について、学校や個人等が事業としてではなく利用する場合にも許諾を求める声が非常に多くなってきたことから、有料配信事業等の商用サービスに適用する規定についてNMRCと正式に合意したのに合わせ、許諾の範囲をインターネットや携帯端末での音楽利用全般に広げ、社会的な要請に応えることとしたものです。


○ 商用サービスに適用する規定について

NMRCと協議して定めたこれまでの暫定使用料率は、これまでNMRCの加盟、非加盟の別なくレコード製作者を含むほとんどの商用サービスにその事業開始時から適用してきており、広く周知されているものと考えております。今回の認可申請に当たりましては、その暫定使用料率の内容をほぼ踏襲し、さらに現状に会わせてNMRCと協議、正式に合意したものです。商用サービスとは、情報料を課しているものの他に広告料等収入を得ているものも含まれます。


○ 非商用配信に適用する規定について

今回はじめて策定した非商用配信に適用する規定は、学校や個人等を代表する団体がないこともあり、またNMRCからも、個人利用者の意見に十分配慮すべきとの参考意見なども出ており、JASRACのこれまでの著作物使用料規程の中で学校や個人が音楽を利用する際に適用してきた録音テープや出版の規定の料率を参考にして、利用される方が多岐に渡ることや、利用者の手続きの利便性に配慮して定めました。

非商用配信に適用する規定は、相応の周知期間が必要であるとの認識から、きたる2001年4月1日からの実施を予定しています。

なお、非商用配信の規定が認可されても、レコード製作者、実演家、放送事業者、有線放送事業者の権利(著作隣接権)を侵害しているMP3ファイル等を掲載する違法ホームページ運営者には、それらの権利侵害を解消しない限りJASRACは許諾いたしませんし、従来通り著作権侵害として刑事上、民事上の責任を追求するなど厳しい対応を継続することとなります。


○ 今回の認可申請の意義

インターネットをはじめとするネットワーク上では、あたかも「音楽はただ」であるように誤解されております。現行著作権法は国際的な各国間の協調へ向けてネットワークやデジタル利用に対応すべく改正を繰り返しており、著作権法上の著作者の権利保護制度は整ってきている反面、利用許諾におけるルール作りが遅れておりました。このため、学校や個人からの許諾の申し出に応じられない状況が続いておりましたが、この度非商用配信の規定が策定されることで、すべてのネットワーク上の利用について、適法に音楽を利用いただける環境が整うことになります。例えば、今後はホームページで既存の音楽をお使いになりたい場合に必要となる費用が明らかになりますので、その費用を負担してお使いになるかどうかを十分お考えいただいた上で、JASRACが管理する音楽をご利用いただく場合にはJASRACに許諾のお申し込みをしていただくことになります。

インターネットではすべてが自由、すべてがただなのではありません。音楽を楽しんでいただくためには、許諾を得て著作物使用料をお支払いいただくことが必要です。こうした目に見えないものを大切にすることが、これからの情報社会、IT産業の発展のためには必須のことと考えており、その意味でも今回の規定が認可されることの意義は大きいといえます。


[資料]

● 著作権と著作隣接権

 作詞家、作曲家が自ら創作した音楽について、第三者にその利用を許諾することができる権利が著作権です。ネットワーク上の利用については著作権法に定める複製権、公衆送信権(送信可能化を含む)が働きます。また、レコード製作者、実演家、放送事業者、有線放送事業者のように音楽を一般の方に伝える役割をされている方には著作隣接権という権利があって、ネットワーク上の利用については複製権と送信可能化権(著作隣接権者によって若干の違いがあります)が働きます。例えば市販のCDや、ラジオ放送を録音したものをホームページで公開する場合は、音楽の著作権の他に著作隣接権者の許諾も得なければ利用できません。

● NMRC加盟団体について

  • 社団法人音楽電子事業協会
  • 社団法人デジタルメディア協会
  • 社団法人日本テレコムサービス協会
  • 電子ネットワーク協議会
  • 日本インターネット協会
  • 日本インターネットプロバイダー協会
  • 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会
  • UBA -Unix Business Association(オブザーバー)


● ホームページ



● JASRACとNMRCの交渉経緯

  • 1997.8.29
    ネットワーク音楽著作権連絡協議会(NMRC)発足

  • 1998.11.26
    インタラクティブ配信による管理著作物の有料利用に関する暫定合意(期限1999.3.31まで)

  • 1999.3.26
    インタラクティブ配信による管理著作物の有料利用に関する第二次暫定合意(期限2000.3.31まで)

  • 2000.4.3
    第二次暫定合意の延長(期限2000.9.30まで)

以上

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